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一括借り上げ(サブリース)の注意点! 賃貸経営

  • 賃貸管理

30年一括借上げで安心です!

上記のようなキャッチコピーを詠う建築(ハウス)メーカーの広告をよく見かけます。

一括借上げ(サブリース)のシステムは簡単に言うと、賃貸住宅をオーナー様が建てて、不動産会社が1棟全室を借上げ、家賃査定の7~10%程度の手数料を差し引き全室分の賃料を空室が何部屋あっても賃貸オーナーに支払う。というシステムです。不動産用語では「転貸借契約」と言います。
土地建物オーナー→管理会社→借主
※賃貸オーナーは管理会社と建物全室の賃貸借契約を管理会社と交わし、管理会社が貸主となって借主と賃貸借契約を結びます。

通常は、新築時の契約が原則のようですが、管理会社が認める一定の地域においては中古での管理替え(サブリース)を行っている会社もあるようです。

以下注意点です。
1.敷金の保管は管理会社で行う
2.礼金収入は管理会社の利益となる
3.家賃が入ってこない期間(免責期間)が設けられている
※引渡から1か月~3ヵ月程度は免責期間が設けられていてその期間の賃料収入はありません。←管理会社は募集期間なので!などと営業トークとして使っています。通常は新築契約時のみこの「免責期間」が設けられていることが多いのですが、上場企業(よく見かけます)などのサブリースの契約書を見ると、再募集(退去時)に再度免責期間が設けられている場合もあります。

4.家賃の見直し時期が必ず設定されています。

30年一括借上げ!などのキャッチコピーを謳っている管理会社と交わすサブリース契約も、契約書の中身を見ると、契約期間は30年。家賃の見直しは2年毎~5年毎など、その会社独自の契約内容になっていますので、この部分は注意してください

30年同じ家賃が保証されることは絶対にありません!

5.主に退去時の原状回復工事費用や設備関係の費用はすべてオーナー様持ち

以上のように、30年一括借上げ!のキャッチコピーをそのまま鵜呑みにするには注意が必要です。

しかし、サブリース(一括借上げ)の知識を理解し、管理会社としっかりとした契約を交わすことで、金融機関との条件などメリットがある場合もあります。

賃貸経営だけではありませんが、何事にも「メリット」と「デメリット」は隣り合わせです。
では以下にメリットとデメリットを挙げていきます。

まずメリットですが・・・

1.家賃滞納のリスクを回避することができる

通常の方は土地はご自身の土地を活用し建物は融資で計画される方が大半です。賃貸経営は家賃滞納=賃料収入減となります。満室・空室を問わず毎月一定の金額が管理会社から入金されるので、返済計画などに支障をきたす危険が少ない。これは賃貸オーナー様にとっては心的に大きなメリットではないでしょうか?
注意点3に明記した「免責期間」についても、東京都内であっても全室が埋まるまでには1~2か月程度要するのが通常ではないでしょうか?そこから逆引きすると賃料収入が始まるのに1~2か月(戸数が多い場合では3ヵ月程度)かかるのは適当と思われますので、免責期間=デメリットとは感じません。但し免責期間には注意してくださいね。
※都心部の8世帯程度の新築物件にも2~3か月の免責期間が設けられている契約書を拝見したことがあります。(弊社にご相談者様)

2.郊外や賃貸需要の少ない(厳しい)地域でも賃貸経営が可能

都心から少し離れた場所であっても、その地域地域で賃貸需要は必ずあります。ただ、新築時に一回は満室になっても、一度退去されると次の入居者をつけるまで期間が長くなるのも、表題地域の特徴でもあります。
そのような場所で賃貸経営を行う際は、賃貸住宅のプランニング(建築プラン+建築費)も重要です。
しかし、コンセプトがしっかりしたプランに仕上がっても入居需要が低い以上、空室のリスクは同時に発生しますので、サブリース(一括借上げ)は有効な手段の一つとなると思います。

3.借主との付合いが面倒な方にはメリットかも・・・?

冒頭でサブリースの仕組みを表記しましたが、建物はご自身のものですが、貸主は管理会社になります。
家賃の滞納はもちろん、様々なトラブルも「大家さん」として管理会社が請け負いますので、入居者と係りを持つわずらわしさからは解放されますので、賃貸オーナー様にとっては心の余裕の部分にとってはメリットではないでしょうか。

サブリースを主体としていている管理会社の営業さんなら、他にもメリットをたくさん挙げられるのでしょうが、私が考えるには上記の点は少なくとも賃貸オーナー様にメリットとして感じていただけるのではと思います。

では、「サブリース(一括借上げ)」のデメリットは?

1.借上げ手数料が高い

世の中リスクとリターンは総じて合意を見ることになっています。
低リスク+ハイリターンな投資などあまり見かけたことはありません。
「一定の収入が確保できる=低リスク」なのですがら、手数料が若干高いのは通常のことです。管理会社とて、家賃滞納や入居者トラブルのリスクを、オーナーの変わりに引き受けるのですからしかたがないこと!
と思われている賃貸オーナー様が多いのではなでしょうか?

いくら一括借上げシステムで管理契約を結んでも、家賃の下落や賃貸トラブルなどの最終的な出口はオーナー様です。将来家賃が下落しても、それに乗じて賃料が見直されます。またトラブルなどが頻発し入居率が落ちた場合なども、賃料を見直すことで入居率を回復しようとする管理会社が多いのは事実です。
賃貸住宅経営は最初の10年が勝負です。
特に昨今の低金利時代においては、ここが勝敗のポイントと言っても過言ではないでしょう。
いかに、賃料を維持して収入の最大化を狙い、返済額を減らすことを考えるのも長いスパーンでの賃貸経営を維持していくことはとても重要です。
まずは、ご自身の立地を第三者の目でよく観察してみてください。
メリット2で挙げた「郊外や賃貸需要の少ない(厳しい)地域でも賃貸経営が可能」以外の立地であれば、サブリースのメリットはないのでは・・・?
と選択肢を広げることも大事なことだと思われます。
10年間での収益が断然変わってきます。

2.敷金を管理会社に預けることがデメリット?

通常のサブリース契約では、敷金預かりと礼金収入は管理会社に入ります。

近年の賃貸市場では、ひと昔のように、必ず礼金が取れるという地域は狭まっていることは事実です。
礼金収入はさておき、敷金の預かり金です。
敷金の定義は、賃料その他入居者に帰する事態の担保的な扱いとされていますので、解約時に何もなければ全額返金することが原則です。

賃貸経営を投資として考えているオーナー様からのよくお聞きする声ですが、8万円/1世帯×12世帯のマンションを持っていると、1か月分の敷金を預かると96万円。
この金額をみすみす管理会社に預けるのはかなりリスクが伴うことと、逆にマンションの維持管理や他の目的としても有効に活用することができます。

3.賃料の見直期間と他契約書の内容に注意!

メリットでも挙げましたが、賃料見直しはサブリース契約如何を問わず起こりうる現象です。
ここで注意したいのは、この見直し期間が2年や4年というもの。←大抵のサブリース契約をみると4年程度になっています。それ以上に設定されているサブリース会社は、この観点からはとても優良な管理会社だと思って間違いはありません。

新築で入居すると2年はあっという間です。マンションを買う持ち家を買うなど、何らかの理由がなければ80%近くの方が「更新」をされると思われます。
とすると、次は4年目の更新。ここは半数近くの方が退去する可能性があるというデータがあります。
ということは、4年間は家賃は変わらないのです!

サブリースを選ぶ。通常管理を選ぶ。どちらも賃貸オーナー様の考え方ひとつですので、仮にサブリースを選択する場合、この見直し期間の交渉を一つの踏み石にすることも重要な判断材料にはなると思います。

また、大手建築会社などのサブリース契約で多いのが、30年契約だが、定期的な建物のメンテナンスを自社で請け負うこと要件として盛り込まれている契約書をよく拝見します。

サブリース(一括借上げ)は、メリットもあればデメリットも多く判断に迷うところです。
まずは、サブリース契約の契約書をしっかりと見て理解することがとても重要ですので、疑問があれば、お電話でもメールでもお気軽にご相談ください!

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