メニュー

コラム

頑なに・・・。

  • 竹本ブログ

先日、とある若者を通してとても嬉しい事がありました。

彼との出会いは4~5年ほど前。ひょんな事から仕事をするようになり、今では私にとっては必要不可欠な存在になりつつあります。まだまだ本当に頼りないのですが…。
当時二人で酒を酌み交わしていた時のテーマが、5年後の自分。

  最近の若者は( 非常に親父臭い言い方ですが… ) 仕事を貫徹させる事に対しての執着が非常に希薄だと感じるのは私だけでしょうか?
そんなテーマを酒のツマミに酒を飲んでいたのですが、さぞかし彼にとっては胡散臭い「酒」だったと思います。

  私が5年後…。をテーマにしたのは、多分彼が上に挙げた「仕事に対しての執着心」を持っていると感じたからだと思います。で、自分の経験を少し語らせてもらったという訳です。
私が仕事を学んでいた時期は、当時日本をGNPで世界2位にまで押し上げた立役者である「団塊の世代」の方々が上司・先輩として活躍されており、その影響をもろに受け、仕事の厳しさと楽しさをじかにに学ぶことができ、多くの意味で楽しい時代でもあったと思います。

  「会社がコンプラで崩壊する!」というタイトルで記事を書いたとあるビジネス誌がありました。「パワハラ」「セクハラ」などが事例を交えて紹介及び解説されていました。「パワハラ」の箇所を読むと、飲み食いに誘う。仕事を押し付ける。これらの行為が今の時代では「パワハラ」となる可能性があるという。飲みに誘う行為は、上司にとってはコミュニケーションの場を作る意味や個人の裁量を見極めるために必要だと思う反面、部下から見るとプライベートを削ってまで会社関係に縛られたくない。というもの。私的にはどちらの思いも正しいと思いますが、あくまで私見ですが、ビジネスマンである以上「プロ」であることの意識の持ち方が答えになると思っています。

バブル以降日本が停滞しているのは、「団塊の世代」以降のビジネスマンがだらしない!と酷評したビジネス誌の記事を読んだ時がありました。指摘はまさしくその通り。団塊の世代が活躍していた頃は戦後の高度経済成長の最中という環境もあったと思いますが、何より開拓魂が凄まじかったと聞き、ビジネスに対してのエネルギッシュさを感じます。
「団塊の世代」から2代後の私の世代は、ビジネス環境や社会がある程度整い、逆に「ゆとり教育」なるものが取り入れられ、何の根拠もない安心感が渦巻いていた時代でもあったと思います。
ただ感謝したいのは、団塊の世代の方々と直に接する機会があったことで、仕事に対しての「プロ意識」だけは肌で感じることが何よりだったと今も思っています。

最近思うことがあります。「プロ意識」の欠如。団塊の世代の方々が伝承してくれたこの意識を、我々世代は、後世に必ず伝えなければなりません。しかし伝えたくても「コンプライアンス」の壁が阻む。この循環が成長を停滞させる原因のひとつになっていることを、先に述べたビジネス誌でも指摘をしていました。現実として、各企業が、個人個人の競争意識が失われている。という問題が挙げられていることを良く聞きます。これは「プロ意識」の欠如が生み出した負の遺産と言っても良いのではないでしょうか。

とある若者と酒を酌み交わしたことに話を戻します。「競争意識」「プロ意識」が欠け、成績を残さないことを周りと共有してキズを舐めあう傾向がある今の社会においても、ある時期(30歳を超える頃)に必ず頭ひとつ飛び出す(成果を上げる)者が出てくる。そのような人間の傾向は、周りの風潮などに左右されずに、「競争意識」「プロ意識」、そして一番大切な「目標」をしっかりと持って何事にも真摯に取り組む。そんな話を昔話を交え彼に話していました。
すると彼が一言…。「社長!私がその頭が飛び出す人間になっていると思います」。と…。まぁその言葉は頼もしくもあり、また笑ってしまう場面でもあったのですが、その若者は本気の目で私に語りかけていました。

その後の仕事ぶりをずっと見ていましたが、仕事に対しては、非情に不器用で想像力もたりず、また相手の側にたった心使いや配慮もできない…。 頭ひとつ飛び出す要素がどこにあるのか?、半ば呆れた事もしばしばで、ちょっと無理かなと思っていたのが私の本音でもありました。

ただ、彼は不器用ではあるが、また気が利かない事も確かだか、実に頑なにお客様の事を思う。仕事を取りに行く執着もある。もうひとつ加えると、諦めない!
ここが彼の良い所で、失敗を繰り返しながらも、自分のマイナスを一生懸命にカバーしようと5年間、一生懸命頑なに走り回っている姿には、実は感動もしていました。

何気ない酒席の話から5年。先日、彼が勤める会社で『彼』が初めて表彰をされたと聞きました。それもかなり評価が高い賞だとのこと!

その話を聞き、彼がこの5年間で、ビジネスマンとして、また人間としても大きく成長したことを、非常に嬉しく思いました。遊びたい時期もあったであろう。大きなトラブルも一度や二度ではなく、なんで?なんで?と自分を疑った事もあったであろう。他人の責任にしたくなる時もあったであろう。
彼にとってこの『賞』は、きっと大きな分岐点になるであろう。

しかし、ビジネスはそんなに甘くはない。これからも「トラブル」や「なんで?なんで?と自分を疑う事」。また「他人の責任にしたくなる」ことも必ずある事と思う。しかし、これまでに学んだ、自分にできることを信じ、頑なに貫く事で、きっと打開はできるであろう。おめでとう!と声を大にして掛けたいが、今はあえて封印しておこうと思います。さてさて、私も彼に負けずに頑張らねば!

コラムカテゴリー